酢酸カーミン飲ますぞ
6月の中頃、念願の無職になった。
無職童貞彼女いない歴=年齢のモンスターになってしまった。
無職になってわかった。無職は孤独。遊ぶ相手もいないので、昼に起きて朝に寝る。
絵に描いたような地獄の無職生活を送っている。
あまりにも暇なのでさっさと転職成功さすぞ。
本来であれば、退職の面談をした際に「すぐにでも辞めたいというわけではないので客先と調整をして連絡をしてくれ」という風に伝えていたので、最低でも退職の一ヶ月前には連絡が来るはずだったのだが、会社側の連絡ミスで退職日の週初めに連絡が来るアホくさエピソードがあったので、転職の準備ができずにこうしていきなり無職になっている。
そういうとこだぞ、人が離れていくのは。
とはいえ、6月の半分は有給消化だったので右も左も分からない完全無職生命体と化す前に、無職になるにあたって必要なことはないかを確認するため、我々は魑魅魍魎がうごめく無職の流刑地”ハローワーク”へと足を運んだ。
ハローワークは思っているよりも死が蔓延しているような雰囲気ではなく、若い人もチラホラいる。樹木みたいな老人も多く見受けられたが、特に面白いこともなく、NPCのような対応をしてくるおばちゃん職員に今後必要な手続きなどを聞いて帰った。
無職誕生の瞬間は意外とあっさりとしている。気がついたら無職。寝ても覚めても無職。赤ちゃんも無職。つまり俺は…
有給消化が終わり完全に無職になってから間もなく、人生はじめての合コンに行った。史上最悪のタイミングだなと思いながらも、男性陣には無職ではないテイで話を合わせてもらい、つついたら即ボロが出る偽りの童貞モンスターが自己紹介の際にはいけしゃあしゃあとシステムエンジニアやってますなどとぬかした。
自己紹介後、お葬式に近い心境でその場に臨んでいた。
会話の…会話の糸口がわからん…!
人間との関わり合いについて大きなブランクがあるので、雑談が雑にできない。
その上、ほかの男性陣はお笑いモンスターみたいな側面もあるので、どスベリした時の反動もデカい。
いつか会話に切り込めると信じて、スターウォーズのダース・モールのような顔をしながら会話に耳を傾けつつ「ハハハ」みたいな糞馬鹿激安相槌を打って生きながらえる。ハハハじゃないんだよバカタレ。乳首引きちぎるぞ。
反省点を多く残して、何事もなく合コンは終了し、家に帰って「雑談 切り口」で検索をかけたが、もうそういうのを検索する時点でダメだという事に気付き、静かに枕を濡らした。