ゴリラ農園

霊長類としての尊厳を守るためのブログ

男は黙って離乳食

食券制の飲食店に行き過ぎると普通に店員に注文するタイプの店に行ったときに気持ち的に食い逃げしそうになることがある。伝票見て「あ、そうか…」って。名のある病気か何かだと疑っている。

食券を出すだけで料理が出てくるという他者との関わりを極限まで根絶するシステムにあやかるのが好きなんだよね。

 

店員に注文するタイプだとまず店員を呼ぶ段階で「すいませぇ~ん」って言わないといけないのがもう後ろめたい。指パッチンで来い。

完全にメニューを吟味して注文を決め終えたのに店員がなかなか付近を通らなかったりするとデカい声で「すいません!」って言わないといけなくなるじゃん?嫌なんだよねそれが。普段からボソボソ喋ってる自覚はあるんだけど、いざデカい声出すとなると中くらいの声量でいいのに中(強)くらいまでいくんだよね。脳波で直接呼びかけさせろ。

それで、いざ店員を呼んで注文する時になって注文を言う場面になるとメニューにこざかしい枕詞がついてることがあって、それを言うか言わないかで悩む。いや日高屋、お前のことだよオイ。「タンメン」って言ったら「野菜たっぷりタンメンですね」って復唱したけど”野菜たっぷりではない”タンメンが存在しねえじゃねえか!修飾するな、タンメンを。そういうメニューの言葉遊びにも疲れて俺は食券が好きなんだ…

 

ところで、この間髪切ってる時にこんな感じでご飯に関する話をしたら「いつも一人でご飯食べてるの?」って聞かれたんだ。

俺は絶句した。平日は朝昼夜すべての食事において孤独だった。その事実はともかく、それを正直に伝えるべきかひた隠しにするか脳内サミットを開いた結果、正直に伝えた。嘘は嘘松のはじまりだから…

軽く同情をされた。この女、理解(わか)ってない。孤独はスパイス、真に料理(ほっともっとの弁当)と向き合うには孤独でなければならない。

その後も映画を観に行くっていう話をしたら「一人で?」ってもはや食い気味につっこまれてぼっちキャラにされてしまった。いや…映画を観るときは一人の方が軽いフットワークで席を取ることができる。やはりこの女、ずぶの素人…時代が時代なら死んでいる。

 

俺はその日、なんだかいつもよりしっとりした気分で映画を観た。一人で。